就活セクハラを受けたら迷わず相談!こんなペナルティを与えられます | 本命ナビβ 2019 | 本命の企業への近道になる新卒向け就職活動サイト
2018年5月30日

セクシャルハラスメント(性的いやがらせ、以下セクハラ)は一方的な要望が通りやすい上下関係を背景に起こりやすいトラブルであり、残念ながら就活の場面でも起こってしまうものです。セクハラの被害がトラウマとして残り、その後の就職活動に支障を及ぼす恐れもあります。
今回のテーマは、就職活動で起こりうるセクハラです。セクハラの種類や、実際に被害を受けてしまったときに、相手にどんなペナルティを与えることができるのか、また相談先についても紹介します。

就活セクハラとは?

セクハラは上下関係の中で起こりやすいトラブルです。就活中の学生と、採用の可否を判断する採用担当者は、一時的とはいえ職場での上司と部下のような、上下関係の立場にあるといえます。
学生は内定を得るために企業の採用担当者に少しでも良い印象を与えようと努力をします。嫌な質問にも無茶ぶりにも、ぐっと我慢をして対応しなければならないこともあるでしょう。
一方で企業の採用担当者は、ストレス耐性や対応力を見たいからと、わざと学生に厳しくあたったり意地悪な質問をしたりすることもあるかもしれません。
この立場を利用して、学生へセクハラともいえる行為を働く悪質な採用担当者がいます。就活セクハラは、採用担当者など企業の人間が性的な言動によって学生に不利益を与える、人権侵害行為です。
セクハラの種類には大きくわけて二つあり、性的言動が拒否されたからといって不当な扱いをする対価型セクハラと、性的言動によって精神的、場合によっては肉体的ダメージを与える環境型セクハラがあります。就活セクハラにおける二つのセクハラについて、下記で説明します。

就活での対価型セクハラの例

対価型のセクハラは、上司と部下など立場の上下を利用して性的な関係を迫る言動をいいます。拒否されるなど思い通りにならないと、減給、降格、異動、解雇など、上司の立場を利用して部下に不利益を与えるのです。就活では、人事と学生の関係性から起こってしまうセクハラです。下記に対価型のセクハラの例を紹介します。

〇〇しないと不合格にする

「キスしないと落とすよ」「家に来てくれたら最終面接に通してあげる」など、採用の可否を匂わせて性的な行為を強要することは、紛れもない対価型の就活セクハラです。人事やリクルーターの立場を利用した、就活セクハラの中でも特に悪質な行為であるといえます。
学生の立場からしたら「拒否したら落とされるのではないか」「入社後の進退に関わるのではないか」などと考えて、簡単には拒否できません。また、「誰かに相談したら不採用になるのでは」という思いから、気軽に他人に相談することもできません。内心では嫌な思いをしながらも従ってしまうために、セクハラの加害者側は合意の上と勘違いしてしまい、セクハラがエスカレートしてしまうという最悪の状況に陥ることもあります。

個人的な誘いを行う

直接的に採用の可否に結びつけるような発言をしなくても、「二人でご飯に行こう」などと個人的な誘いを行うことも対価型セクハラとなりえます。他意なく食事に誘ったつもりでも、学生にとっては大きな精神的負担になっている可能性があるのです。「嫌なら断ればいい」と考える人もいるでしょうが、前述の通り、学生の頭には常に合否の心配があります。立場の強弱がある限り、誘うこと=強要と考えるべきなのです。

就活での環境型セクハラの例

環境型のセクハラは、性的な言動によって学生に精神的なダメージを与えたり、本来の力を発揮できなくしたりする行為です。発言によるセクハラ、身体接触によるセクハラ、視覚的なセクハラがあります。

服装や外見に関する発言

「スカート短いね」「スタイル良いね」「顔がタイプ」といった服装や外見に関わる発言は、褒め言葉であろうとなかろうと相手を不快にさせうるセクハラ行為です。学生のことを一人の人間ではなくて、女性や男性として評価するような発言は、すべてセクハラといえるでしょう。
「足が太い」「おしりが大きい」など害するような発言であれば、セクハラに加えて侮辱行為にもなるでしょう。

プライベートな質問や男女で異なる質問

「彼氏(彼女)はいるの?」「結婚の予定は?」「子供はいつごろ欲しいの?」「スリーサイズは?」など選考とは直接関係のないプライベートな質問も、環境型セクハラにあたります。言葉に詰まったり返答を拒否したりすることで、合否を判断される可能性があるという点では、対価型のセクハラともいえます。
不快な質問をされたら素直に答えずに、質問の意図を聞いてしまっても問題ありません。

ボディタッチ

許可なく太ももを触る、頭を撫でる、肩を抱く、キスをするなど、身体への不必要な接触は、わかりやすいセクハラ行為の典型ですね。接触の程度によっては強制わいせつ罪にもなりえます。

視覚的セクハラ

酔っ払った社員が全裸を晒す、卑猥な画像を見せるなど、学生に性的な光景を見せて動揺させることもセクハラ行為です。全裸まではいかなくとも、露出の高い服装をして胸元を見せるなど、性的なアピールをすることもセクハラの一種です。

セクハラの基準は「受け取り側の感じ方」

セクハラの加害者は、往々にして無自覚です。「恋愛は自由だ」「自分ならセクハラにならない」「相手は喜んでいる」などと勘違いをしがちです。セクハラ被害者ははっきりと拒否できない立場にあることも多く、それが加害者の行為を助長させてしまう原因となります。
セクハラになるかどうかの基準は、あくまで受け取り側の心情が重視されます。セクハラをする加害者側に「そんなつもりじゃない」という気持ちがあってもなくても、被害を受けた側の意に反する嫌な思いをすれば、それはセクハラになりうるのです。
国の指針では、被害を受けた人の主観を重視するとした上で、「平均的な女性(男性)労働者の感じ方」を判断基準にしています。被害者と同性の人が同じ立場に立ったときにどう思うかが推し量られます。ある程度の客観性は必要となるようです。

ペナルティを与えることはできるか

就活におけるセクハラは、セクハラをした本人と企業に対してペナルティが発生する可能性があります。セクハラをした社員には、企業による制裁罰、損害賠償が発生する民事責任、刑事罰が発生する刑事責任が発生します。企業は国からの行政責任や民事責任が問われることになります。
実際にペナルティを与えるためには、セクハラを受けた学生自身が被害を訴えなければなりません。

懲戒処分(各企業の就業規則)

セクハラ加害者の社員は、企業から出勤停止、減給、降格、解雇など、ケースに応じた適切な懲戒処分が与えられることになります。直接または労働局を通すなどして、企業にセクハラがあった旨を申告しましょう。

男女雇用機会均等法違反(同5条、29条、33条)

面接で結婚や出産に関する質問など、男女の性差で採用基準を変えることは、男女雇用機会均等法の第5条に違反します。
違反していることが何らかの形で労働局に伝わると、企業は労働局への報告が求められ、指導や勧告を受けることになります。報告をしなかったり虚偽の報告を行ったりすると、20万円以下の罰金が課せられます。また、勧告に従わなかった場合には、企業名が公表されて社会的な信用を失うことになります。

民法責任(民法709条)

セクハラは民法709条の不法行為として、加害者に損害賠償を請求することができます。精神的な苦痛の対価として慰謝料の請求が可能です。
ただし訴えを起こす側に立証責任があるため、セクハラの証拠となる録音や詳細なメモの準備が必要となります。
セクハラを受けているのではないかと感じたら、次回接触する際には録音を取る、またできるだけリアルタイムで日時や場所、相手の言動についてのメモを取るようにしましょう。

使用者責任(民法715条)

民法には使用者責任という事項が定められています。社員が業務の一環で行った不法行為の責任は、企業も負わなくてはならないという内容です。
つまり、社員が業務の一環で行った採用活動でセクハラをし、学生に損害を与えた場合、企業にも賠償責任が発生します。学生は、加害者の社員本人だけでなく、企業にも連帯債務として損害賠償を請求することができるのです。
ただし企業が当該社員本人に対して、何度も注意喚起を行った場合にはこの限りではありません。

債務不履行(民法415条)

すべての企業には、社員が働きやすい環境を作るための職場環境配慮義務が課せられています。セクハラ対策もその一つです。セクハラ対策は、セクハラの被害者を出さないことを目的としたものですが、同時に社員から加害者を出さないためのものでもあります。
学生へのセクハラも、企業の対策次第で未然に防ぐことができます。例えば学生に接するリクルーターは同性にする(ただし同性同士でもセクハラが成立することに注意)、異性同士で二人きりの状況を作らない、個別で連絡を取り合わないなど、いくらでも対策が立てられたはずなのです。セクハラ対策を怠ることは、企業が履行すべき義務を果たさなかった債務不履行として、損害賠償請求が可能です。

刑事責任

就活セクハラは、ケースによっては刑事事件に発展する可能性もあります。

例えば視覚的セクハラでは、公然わいせつ罪(刑法174条)やわいせつ物頒布等罪(刑法175条)に該当する可能性があります。公然わいせつ罪は6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、わいせつ物頒布等罪は2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処せられます。

無理やり衣服の上から体を触る行為は、迷惑防止条例違反(都道府県条例)となります。東京都の場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が定められています。

衣服の中に手を入れた場合には強制わいせつ罪(刑法176条)、肉体関係があった場合には強制性交等罪(刑法177条)が該当します。泥酔させられて触られたり行為に至ったりすると、準強制わいせつ及び準強制性交等罪(刑法178条)となります。強制わいせつ罪(準含む)は6ヶ月以上10年以下の懲役、強制性交等罪(準含む)は5年以上の有期懲役に処せられます。

また暴言ともいえるセクハラ発言は、侮辱罪(刑法231条)や名誉棄損罪(刑法230条)が成立します。侮辱罪は拘留又は科料、名誉毀損罪は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。

実際に犯罪として立件されるかどうかは、素行、経歴、時間、場所、周囲の環境といった具体的な事情が考慮されます。まずは警察や弁護士に相談してみましょう。

学生の相談先

実際にセクハラといえるような行為を受けても、誰だって冷静に対応できないものです。時間が経ってから、あれはセクハラだったのではないかと気がつくこともあります。
就活セクハラには上記に挙げたようなペナルティを科せる可能性があるものの、実際に企業に訴えたり、訴訟を起こしたりすることは、とても勇気のいることですし、たくさんの時間や労力も使います。また事実を公にすることで、就職活動に悪い影響を与えてしまうことを心配し、結局は泣き寝入りを選択する人も多くいるでしょう。
すぐに訴訟だ!警察だ!というわけではありませんが、今後同じような目に合うかもしれない人をなくすためにも、勇気を出して誰かに相談することは非常に大切です。
二度と会うことはないからとすぐに忘れてしまう人もいれば、トラウマになってしまう人もいます。一人で抱え込んだままでは就活セクハラはなくなりません。セクハラの相談先として次のような選択肢があります。

友人や先輩

親しい友人や先輩に相談してみましょう。就活を経験した人であれば他社の話も聞けるため、自分が受けた行為が異常なことなのかどうかを冷静に判断することもできます。企業や第三者機関に申告することはできなくとも、学生同士の情報交換を通してセクハラ体質の企業への注意喚起にも繋がります。

大学のキャリアセンター

学生の就活をサポートする大学のキャリアセンターも一つの相談先となります。就活セクハラに対する適切なアドバイスや対応を教えてもらえたり、ケースに応じた外部機関の相談先を紹介してくれたりするでしょう。先輩からの情報を元に、別の優良企業を紹介してもらうこともできます。大学は学生の味方になってくれるはずです。就活セクハラの情報提供により、他の学生への注意喚起にもなります。

労働局雇用環境・均等部(室)

雇用や各種ハラスメントに関する相談を受け付けている、国が運営する機関です。就活中のセクハラについての相談も対象となります。各都道府県に一箇所ずつ設置されており、電話や手紙での相談も受け付けているようです。
都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/
男女雇用機会均等法などの法律に違反していると判断された場合には、労働局から企業へ行政指導があります。匿名での申告もできますが、セクハラに関する具体的な事情や企業の実名は伝える必要があります。

警察のホットライン

刑事事件に関わるような悪質なセクハラを受けた場合には警察が相談先になります。いきなり110番通報や警察署に相談しに行くのはちょっと・・・という場合には、電話相談窓口「#9110」に電話してまずは話だけでも聞いてもらいましょう。
今後どのような対応をとれば良いかなどのアドバイスや相談すべき別の機関の紹介、程度によっては加害者への指導や警告を行ってくれます。そして刑事事件に該当すると判断された場合には捜査が開始されます。

弁護士

損害賠償請求や刑事事件など、企業と何らかの争いが発生しそうな場合には、弁護士への相談が適しているでしょう。初回のみ無料で相談できる法律事務所や法テラスもあります。そもそも争うべきかそうではないか、今後の方向性を決める上でも、専門家による法的なアドバイスは有効です。