このご時世「内定取消」ってあるの?企業と学生が陥る7つの事情 | 本命ナビβ 2019 | 本命の企業への近道になる新卒向け就職活動サイト
2018年3月28日

たくさんの被害者を出した旅行会社「てるみくらぶ」の倒産が記憶に新しいですが、結果的に50人以上の内定取消者が出てしまったことでも話題となりました。売り手市場と言われる昨今でも、残念ながら内定が取り消されることはあります。とはいえ、企業は簡単には内定を取消すことはできません。
どのような場合に内定の取り消しが認められるのか、企業や学生の、のっぴきならない「内定取消事情」について紹介します。

内定取消をした企業は公表される

そもそも内定取消は好き勝手にできるものではありません。内定取消をした企業は、必ずハローワークに届け出を行わなければなりません。
そして内定取消をした企業は、厚生労働省から社名を一般公表されるというペナルティが科されます。すべての企業が公表されるわけではなく、次の事情のうち、どれか一つでも該当すれば公表されるようです。

二年度以上連続して行われた場合

2年以上連続して内定取消をした場合には、企業名が公開されます。

同じ年度内に10名以上を対象として行われた場合

同じ年で、10人以上の内定取消者を出した企業は、社名が公開されます。ただし、内定取消しの対象となった学生に対して、安定した雇用を確保するための措置を行い、速やかに安定した雇用を確保できた場合を除きます。

合理的な理由なく行われたもの

受注や売上の減少など事業縮小を余儀なくされる状況とはいえないのにもかかわらず内定取消を行った場合に、社名が公表されます。

学生への対応が不十分だった場合

内定を取り消した学生に対して、内定取消を行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったときや、学生の新しい就職先の支援を行わなかったときなど、学生へのフォローが足りないと判断された企業が公表されます。

内定取消が認められる理由とは

内定契約は、雇用契約と同じようなものです。雇用者が従業員を簡単には解雇できないように、企業も内定を出した学生を簡単には切り離すことはできません。
「客観的かつ合理的と認められる正当な事由」が必要であると定められていますが、具体的には下記の事情がある場合に内定取消が認められることになります。それ以外の場合には無効です。

入社の前提条件を満たせなかった場合

学生が卒業できずに、入社予定日に入社できないような場合には、契約の前提条件を満たさないとして内定取消が可能です。また、資格の取得を入社条件としていて、それに合格することができなかった場合にも内定取消が認められます。

健康状態の悪化

内定後に学生の健康状態が悪化し、正常に働くことができなくなった場合にも内定取消は認められます。内定者にとって健康管理も重要な入社準備ということですね。

重大な嘘の発覚

履歴書の経歴詐称や身元詐称など、選考の前提に関わるような重大な嘘が発覚した場合には、内定取消が認められます。犯罪歴を隠すことも、内定取消の事由になりえます。過去に有罪判決を受けている場合には、履歴書の賞罰欄にその旨を書かなければなりません。ただし大学指定の履歴書には賞罰欄がない場合もあります。面接などで直接言いにくいのであれば、メールや電話で申し出ましょう。多くの会社では就業規則に告知義務を設けており、入社後に判明した場合には解雇する正当な事由にもなりえます。
また面接で持ってもいない資格を持っていると嘘をつく、TOEICの点数を盛って話すというケースでも、内定取消が認められることがあります。資格が評価されて採用されたのであれば当然ですね。

違法行為

内定後に犯罪を起こして逮捕起訴され、有罪判決を受けてしまった場合です。身柄を拘束されてしまっては入社どころではなくなりますからね。

企業の倒産

企業が倒産してしまった場合、内定取消とならざるを得ません。そもそも倒産するほど業績が悪いのに人員確保をしようとする、企業の経営体制に問題がありますね。
昨年世間を騒がせた「てるみくらぶ」も、会社倒産により50名以上の学生に内定取消を言い渡しました。内定を取り消された学生に関しては、厚生労働省が相談窓口を設けたり、企業が無条件で内定者の受け入れを行ったりするなどの対応が行われたそうです。

経営の悪化

経営の悪化といっても、下記の条件をすべて満たしている場合に限ります。

①経営上の事情で人員整理の必要性があること
そもそも人員整理の必要性があるのか、十分に議論されなければなりません。

②内定取消を回避するための最大限の経営努力が行われたこと
具体的な経営努力として、役員報酬の削減、従業員の賃金カット、不採算事業からの撤退、希望退職者の募集などが挙げられます。

③解雇をする人の選定が合理的に行われていること
社員じゃなくて、なぜ内定者なのか、内定者の中でもどうしてこの人なのか、人選に合理的な理由が必要です。

④本人との協議を経て行われていること
一方的に内定取消はできません。きちんと学生に事情を説明するなど十分な協議が行わなければなりません。

自然災害

震災、水害、土砂災害などの自然災害により、企業が深刻な損害を受けて、経営の存続が困難となった場合にも、内定取消が認められます。

内定が取消されたら

企業の「新卒主義」はまだまだ健在です。既卒としてそのまま就活を再開する選択肢もありますが、大学の希望留年制度を利用すれば、新卒として就職活動を始めることも可能です。いずれの選択肢にせよ企業事情の内定取消であれば、同情はされてもマイナスな印象を与えることはありません。むしろ一度は他の企業から内定をもらっている点で評価されるはずです。

そもそも内定取消をする企業は、学生の再就職先を積極的に探す義務があります。早急な対応により、無事受け入れ先が決まれば良いですが、全員が全員うまくいくわけでないのもまた事実です。
中には、内定取消を不服として裁判を起こすケースもあります。どうしても入社がしたくて内定の無効を訴える場合には、「地位確認」の裁判が行われます。近年の例では、日テレアナウンサーに内定していた女子大生が、ホステスのアルバイトをしていたことが「清廉性に欠ける」として内定を取り消され、地位確認の訴訟を起こしていました。結果は見事入社を勝ち取っていますね。
一方で、企業に損害賠償を求めて裁判を起こすケースもあります。学生は本来もらう予定であった賃金や、精神的苦痛の対価として慰謝料を請求することができます。
本格的に訴えを起こす場合には、一度弁護士に相談してみてもよいでしょう。法テラスなど、無料で法律相談を請け負っている施設もあります。